平成261225

 

明和町長  恩田 久 様

 

明和パソコンクラブ

代表  鈴木 開一

 

「まちづくり提言書」について

 

平成26年度に開催した「未来の明和町に関する勉強会」においてとりまとめた、まちづくり提言書を別紙のとおり提出いたします


 

未来の明和町に関する勉強会

まちづくり提言書

 

平成2612

 

明和パソコンクラブ


 

目 次

 

はじめに                4

 

1.明和町の現状認識          5

 

2.時代の潮流             6

 

3.明和町の課題とまちづくりの方向性  8

 

4.具体的な施策案           9

 

おわりに                20

 

(別添)

各テーマの具体案、アイディア

 

はじめに

 

明和パソコンクラブでは、住民のさまざまな視点から将来のまちづくりについて考える「未来の明和町を考える勉強会」を設立し、平成267月から12月までの間に、全6回の討議を行ってきました。

 

勉強会では、明和町のまちづくりに関する課題を身近な視点から捉え、まちづくりにあたっての基本的な考え方、取り組むべきテーマ等について、情報収集を行ったうえで自由に意見、アイディアを出して討議してきました。

本提言書は、このようにして進めてきた勉強会の成果を取りまとめたものです。この提言が、明和町のまちづくりに関する住民の意見として、総合計画や都市計画マスタープランなどの参考となれば幸いです。

 

また、本提言で示したまちづくりを実践していくためには、様々な分野で活動・活躍されている町民のネットワークを構築し、行政とともにまちづくりを進めていくことが必要であると考えます。町民のみなさんがまちづくりのことを考え、積極的に関わる体制を築くことこそ、これからの時代に求められている協働のまちづくりにつながると考えます。

ぜひ、町が主導して、まちづくりに関する勉強会を招集・開催し、さまざまな立場の住民や農業生産者、企業、団体等から意見を募るとともに、大学等の知恵も借りながら、みなさんで議論できる場をつくっていただくことを希望します。

 

平成261225

明和パソコンクラブ 未来の明和町を考える会一同


 

1.明和町の現況認識

 

【人  口】

・人口推移はほぼ横ばいだが、長期的に減少傾向にあり、高齢化も顕在化している。

・少子化も進み、20082012年の出生数は平均90人/年。人口千人当り8.1人(全国平均8.4人)で、全国1,741市区町村中558番目。1人の女性が生涯に産む平均子供数は1.44999番目。

・自然増減のほか、工業団地就業者や首都圏通勤者の転入、充実した子育て支援策に魅力を感じる子育て世代の近隣市町からの転入などの社会増がみられる。

 

(国立社会保障・人口問題研究所による将来人口推計より)

 

【交通特性】

・県内で東京に最も近く(都心まで約60km)、首都圏への通勤圏内である。

・現在、東武鉄道川俣駅の橋上駅舎化や駅前広場整備が進められている。

・東武伊勢崎線や国道122号、東北自動車道など広域交通条件に恵まれている。国道122号は現在、バイパス整備中である。

・工業団地アクセス道路などの一部を除いて町内を東西に結ぶ道路網の整備が遅れている。

 

【立地特性】

・町の面積は約20km2と県内で2番目に小さく、東西約11q、南北3qの細長い形状である。    国道122号利用者は約3分(時速60km)で町を通過してしまう。

・利根川、谷田川や農地など、豊かな自然環境に恵まれている。平坦な地形で、標高差はほとんど無い(標高1721m)。

・過去には度重なる洪水に襲われた地域である。現在は堤防整備が進んでいるが、万が一利根川が氾濫した場合、平坦な町域全体が浸水する恐れがある。また、近年の集中豪雨では内水被害により住宅地が浸水する事態も生じている。

 

【産  業】

・立地条件に恵まれた工業団地は優良企業の誘致が実現し、製造品出荷額も順調に伸びている。今後も拡張整備の可能性がある。一方、開発による農地や自然環境の減少がみられる。

・以前は米麦を中心とした農業が基幹産業であったが、農家離れや農業従事者の高齢化、耕作放棄地の増加が進んでいる。一方、果樹(梨、ブドウ等)や花卉(シクラメン、カーネーション等)の施設園芸は盛んである。

 

【観  光】

・豊かな自然環境はあるものの著名な観光資源はなく、町外からの来訪者は花火大会などのイベントに限られている。

・町民や企業との連携による地域特産品を活かした商品開発など、活力向上のための取組みもみられる。

・駅前の「まちづくり情報交流館」は、町の特産品販売や情報発信機能をもった施設であるが、休日や夕方には営業していないため、有効に活用されていると言えない。

 

【都市構造】

・館林市、千代田町、板倉町などと一体となった広域都市圏を形成している。

・市街地は町中部~川俣駅周辺に形成され、上位の都市計画では川俣駅周辺を「地域拠点」と位置づけている。川俣駅は、橋上駅舎化、駅前広場整備が進められている。

・駅前に未利用地が多く、商業・交流系施設が少なく、にぎわい・活気がない。

・町内には大型商業施設がなく、町民からは買い物の不便さを問題視する意見が多い。

・西部地区は、大規模な工業団地が整備され企業の集積がみられる。

・東部地区は、全域が市街化調整区域となっており、道路等の都市施設整備が他地区に比べて進んでいない。一方、穏やかな農村風景や豊かな自然環境が残る地域でもある。

 

2.時代の潮流

 

【地域主体で考える まちづくり】

・国が進める「地方創生」の考えのもと、地域が主体となってアイディアを出し合い、持続可能なまちづくりを進めていくことが求められています。

 

【人口減少・少子高齢化への対策】

・全国的に人口減少や少子高齢化が問題となっています。如何に人口を維持し、子育てしやすい環境、高齢者が住みやすい地域をつくることが求められています。

 

【安全・安心な国土の強靭化】

・東日本大震災や集中豪雨による各地での災害では甚大な被害がありました。これらの災害などから国民の命と財産を守り、安全で安心して暮らせるまちづくりが求められています。

 

【環境との共生】

・地球温暖化防止やエネルギー資源の枯渇、次世代へ向けて持続可能な国土をため、自然環境の保全や、再生可能エネルギーの活用など、環境と共生したまちづくりが求められています。

 

【情報技術の活用】

・インターネットをはじめとする情報技術(ICT)の発展は、我々の暮らしを豊かにしています。この情報技術を有効に活用したまちづくりが求められています。

 

【明和町の現況分析】

強 み

1. 豊かな自然環境

2. 交通の利便性(首都圏への通勤圏)

3. 工業団地と優良企業の誘致

4. 梨や花卉などの園芸農業

5. 子育て世帯への支援

弱 み

1. 川俣駅周辺のにぎわいがない

2. 商業・医療施設や観光資源が少ない

3. 農業の低迷

4. 町の知名度が低い(情報発信不足)

5. 町内の地域格差

機 会

1. 地域活性化に対する国の支援

2. ネット環境の整備や情報技術の発展

3. 川俣駅の整備

4. 地域主体のまちづくり活動の機運

脅 威

1. 人口の微減傾向、住民の高齢化

2. 集中豪雨の増加傾向と水害の危険

3. 国道122号バイパス整備(短時間通過)

4. 近隣自治体との競合

 

 

明和町の主要課題

1)高齢者や子育て世代、子どもたちなど、誰もが安心して暮らしやすい町にする必要がある。

2)明和町の基幹産業であった農業の元気を取り戻し、町を活性化させる必要がある。

3)今ある資源や人材を活かして町の魅力を高め、町内外にアピールしていく必要がある。

 

3.明和町の課題とまちづくりの方向性

 

◆誰もが安心して暮らしやすいまちづくり

・水害や地震などの災害から町民の命と財産を守りたい。

・こども園の拡充や教育費支援など、子育てしやすい環境をつくりたい。

・高齢者が元気に活躍できる機会をつくりたい。

・地域拠点として、川俣駅周辺のにぎわいを創出したい。

 

◆農業を活かしたまちづくり

・古くからの町の基幹産業である農業を元気にしたい。

・地域経済循環のため、商店や工業団地企業を含めた官民が連携し、6次産業化を促進したい。

 

◆あるものを活かした魅力的な地域づくり

・町の隠れた魅力や歴史文化を発掘し、次世代へ継承したい。

・地域の魅力を活かした観光コンテンツを整え、町を訪れる人を増やしたい。

・さまざまな情報発信によって、「明和町」の知名度を高めたい。

・自然の恵み(太陽・水)を活用した環境にやさしいまちとしたい。

・豊かな人材を活用して、町民が協働でまちづくりをできるような仕組みをつくりたい。

・周辺市町との連携を強化して、効率的かつ効果的なまちづくりを進めたい。

 

 


《まちづくりの重点テーマ》

テーマ1) 農業の活性化

テーマ2) 町の魅力を活かしたC級観光(*)の育成

テーマ3) 水害などの防災対策

テーマ4) 川俣駅周辺の再開発

テーマ5) ICTを利活用した明和町の活性化

テーマ6) 人口減少対策

 

*観光資源のA級C級の定義

A級

B級

C級

それだけで絶対的観光価値があり、時代とともに価値が変わらない観光資源。外国人の訪問もあり、修学旅行先となるところ。

時代が作った目新しいもので、その後定着した観光資源。旅行雑誌に紹介されるところ。

どこにでも眠っているが積極的に発掘・価値を見出して情報発信しないと埋もれてしまう観光資源。マニアしか知らないところ。

例)日光東照宮、お伊勢さん

富士山など

例)東京スカイツリー、横浜元町

富岡製糸場、など

例)都市伝説、パワースポット

マニア聖地など


 

 

 

具体的な施策案/テーマ1 農業の活性化

 

【ねらい】 古くからの基幹産業である農業を元気にしたい。

 

1 都市と農村交流による農業の活性化

・自然景観や伝統文化をはじめ、空き農家や遊休農地等の地域資源を有効活用して、都市住民の多様なニーズ(「自然のなかでリフレッシュしたい」「農作業を体験してみたい」「農村に住んでみたい」「健康な食生活」)に応える。

・地域通貨「めいわ銭」を導入する。援農ボランティア等の労賃代わりとして支払い、地域内の参加店舗や野菜の無人販売所で使える仕組みとする。(将来的に、政府が導入する「地域カード」との連携)

 

 

2 農業・観光振興機能と防災機能を兼ね備えた施設「農村体験ひろば」を整備

・国道122号バイパス沿いに、県内外の人たちが利用できる集客施設(宿泊型体験施設)を整備する。(特産物PR館、農産物直売所、農園レストラン、農村体験ひろば、巡回バスターミナル・サイクルターミナル等)

・宿泊型体験施設では、農業体験やぐんまのおっきりこみと伝統食の紹介や郷土料理体験等ができるものとする。

・施設は「防災センター」(水害時の避難建物、水防センター等)としての機能をもたせる。防災センターはWi-Fi対応として、平常時にはレンタルスペースとして一般に貸し出すなどの有効活用を図る。

・町内の遊休農地を市民農園として活用し、農作物の栽培・収穫体験、農産物の加工体験ができるものとする。

・利用者(主に都市住民)が体験活動に魅力を感じ、将来的に明和町へ移住してみたいというニーズがあれば、空き家の斡旋を行い、定住促進にもつなげることができる。

・巡回バスやサイクリングで川俣駅や市民農園、古民家村(テーマ2参照)をはじめ、赤岩の渡し、渡良瀬遊水地、邑楽町シンボルタワー等の観光アクセス拠点とする。

・民間資金を活用したPFI事業等による施設整備を検討する。

・「道の駅はにゅう」との競合を避け、情報等の連携を図り相乗効果を期待する。

・直売所は町内の個人農家が出品できるほか、JA館林邑楽をはじめ、千代田町の農家などとの連携を図り商品を確保する。


 

【農業体験ひろばと周辺施設との連携イメージ】

 

2 まちづくり情報交流館の有効活用

・駅前の情報交流館は、農業振興・情報発信施設として機能拡充を図る。施設はWi-Fi対応とし、観光案内や伝統食、観光農園・農村カフェや特産物、農村交流イベント等について情報発信できる施設とする。(千代田町、板倉町、邑楽町等の情報案内も含む)

・来訪者が多い休日や夜間の営業時間の延長を行う。(午前9~午後7時・年中無休)

・川俣駅の橋上整備にあたり、駅舎や駅前施設と一体的な利用ができる形態とできると、なおよい。(テーマ4参照)

 

 

【現在のまちづくり情報交流館】

 

3 6次産業化の促進 〜「明和ブランド」商品開発と販路拡大〜

・生産者や商工会、企業がアイディアを出し合い、連携を図ることで明和ブランドとなる商品開発を行う。

・水稲、果樹などの商品価値を高めるため、販売戦略を検討する。(観光イベントとの連携、梱包デザインや商品ネーミングの工夫、工業団地企業への卸販売販路の確保、インターネット販売の推進など)


 

 

 

具体的な施策案/テーマ2 町の魅力を活かしたC級観光

 

【ねらい】 A級観光資源はないが、魅力を発掘し価値を見出しすC級観光立町を目指したい。

 

1 あるものを組み合わせて観光企画・コンテンツをつくる 〜価値を見出す〜

・利根川や東武川俣駅、R122、梨、食品工場など、明和町と周辺地域には沢山の魅力がある。これらの有機的な組み合わせを考え、価値を高める。

・普段、何気なく接している風景や生活のなかにも、町外の人は魅力と感じることもある。魅力を見つけ、その価値を見出し、紹介・広報することで新たな観光が始まる。

 

(具体例)

・平坦な地形を活かし、利根川沿いなどにオフロードサイクリングコースを設定する。

(渡良瀬遊水地と道の駅はにゅうを結ぶ広域サイクリングコースなど)

・利根川の河川空間を活かした自然散策路や川遊びの場とする。

(気軽に鉄道で訪れて手ぶらでカヌー体験など)

・地域資源を活かしたマニア向けコンテンツの情報発信・PR

(鉄道写真愛好家への撮影スポット紹介、利根川の沢山のカラスの観察など)

・工業団地の食品工場等との連携

(ビール工場・餃子工場とタイアップした大餃子焼会や駅前工場直営食堂など)

 

 

2 古民家村を核とした利根川アミューズメント構想

・空き家となっている古民家を集めて、昭和初期の頃の農村のイメージを再現したような農村居住型テーマパークをつくる。(ハウステンボスの農村版)

・水汲みや薪風呂、かまど飯など、不便を楽しむ昔の生活体験をしながら宿泊のできる施設とする。(日帰り体験も可能)

・宿泊フロントも古民家として、管理人(村長)は古民家に居住していただく。

・首都圏から気軽に鉄道で来訪し、畑で野菜を収穫(野菜ハンティング)して古民家で料理、飲食などの農作業体験ができる企画を農家との協働で企画する。

・地元の旬の食材を活かした郷土料理など、地産地消レストランでは、地域の主婦等の雇用創出にもつながる。

・カヤック・カヌーやオフロードバイク、BBQ等の体験活動拠点、カラスの遊具・観測所などの施設整備や大餃子焼会などのイベントの企画・運営など、利根川を楽しめる集客効果向上策を併せて実施する。

 

 

3 さまざまな周遊観光コース

・利根川沿いの広大な風景や初夏の果樹の花々など、魅力ある季節ごとの散策コースを設定し、ウォーキングイベントを開催することで、明和町の魅力を知っていただくきっかけをつくる。

・周辺市町を含めた資源・魅力()を結び、回遊コースを設定する。例えば、工場見学ツアー(「キャンパック」、板倉町の「餃子の王将」、千代田町の「サントリー」など)、梨やぶどうなどの収穫、味覚を楽しむフルーツツアーなど。(※サントリーは工場見学を取りやめた経緯あり)

・館林邑楽地域で運行されている広域路線バスを活用した観光コースを検討する。

・立ち寄り拠点「農村体験ひろば(テーマ1)」「まちづくり情報交流館」との連携を図る。

・町民との協働で明和町観光マップ製作や案内板設置を検討していく。

 

 

 

具体的な施策案/テーマ3 水害などの防災対策

 

【ねらい】 震災や豪雨災害等に対して、安心して暮らせるまちにしたい。

 

1 無秩序な宅地開発による内水被害を抑制

・近年、台風やゲリラ豪雨において、新里地区の宅地や道路が浸水する被害が発生している。これは、農地を宅地開発する際、洪水調整池の整備が義務付けられていない小規模開発が連鎖的に行われ排水対策がままならない状況のまま大規模な宅地造成がなされた結果とみられる。

・市街化区域内の浸水は、住民の生活に大きな不安を与えるばかりでなく、土地の評価を下げることにもなる。

・今後、川俣駅周辺整備等が進み、駅周辺を地域拠点として更なる市街化や開発整備が進むにあたって、しっかりとした雨水排水対策が不可欠といえる。

H25台風24号 (2013.10.16 8:00)

 

@ 雨水貯留施設の整備

・雨水貯留施設の設置を検討する。雨水貯留施設には、地下式貯留施設や学校グラウンドを活用した表面貯留施設、地中浸透型施設などのタイプがある。未利用地や市街地内農地を町が取得し、雨水貯留機能を持たせた公園として整備する。

 

A 雨水排水系統の調査と適切な管理

・行政は、町内で浸水被害の発生している箇所について情報収集する。

・集中豪雨時には、行政、水路管理者、住民等が協働で、浸水箇所から谷田川への排水系統・経路や江口排水水門の状況、深田水門等の水路に設置された水門の操作状況を調査のうえ、排水の支障となっている場所の特定など、浸水の原因を調査する。

※勉強会メンバーによる今年度の台風到来時の排水状況を確認した結果、下流水路(江口水門付近)の水量はさほどでないにもかかわらず上流域で浸水が確認されているため、水路水門の操作、中〜上流の水路の排水・集水機能に問題があると考えられる。

・台風や集中豪雨時の農業用排水路の水門管理の実態を調査し、問題がある場合には管理方法を見直す。地域が協働で対策できる運用システムの構築が求められる。

 

B 当面の対応

・町では、暫定的に集中豪雨時の住宅浸水を防ぐため、住民との協働による防災対策として土のうの準備を行っている。

・他都市では、浸水時の事故や二次災害を防ぐため、集中豪雨時に浸水する危険があることを住民や通行者に知らせる注意喚起看板を設置する事例が多くみられる。注意喚起看板の設置を検討する。

・排水側溝の清掃などの日常的な管理を徹底する。

・住民自らが行うことのできる浸水対策を検討する。行政は、効果的な対策については普及促進のための助成制度等を検討する。

 

【住民の手づくりの簡易な浸水対策】

 

C 無秩序な宅地開発の制限とルール化

・埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県等では、1ha以上の開発行為における雨水流出抑制施設の設置を義務付けている。(例:埼玉県雨水流出抑制施設の設置等に関する条例)

・隣接する羽生市では、1ha未満の開発においても雨水流出抑制施設の設置を求める「雨水流出抑制施設設計の手引き」を制定している。(1ha未満の場合の貯留量=5003ha

・勉強会での試算では、7003ha程度の容量が必要と考えられる。

・明和町においても、町条例の制定等により、小規模な宅地開発における雨水流出抑制施設の設置義務化を検討する。なお、ルール化にあたっては、群馬県や近隣市町との情報交換を行いながら進めていく必要がある。

・今後、町が国から求められている「立地適正化計画」の策定にあたって、「居住誘導区域」の指定要件として、浸水被害の確認されている区域を除外するなどの対策も検討する。また、「災害危険区域」の指定などによる宅地開発抑制策もあるが、地価等への影響もあるため、住民との合意形成が困難と想定される。

 

D 集中豪雨の予測技術の有効活用

・インターネットでリアルタイムの詳細雨量観測情報が入手できる「XバンドMPレーダー」のデータを活用した集中豪雨等の事前予測は、被害を抑制するうえで重要である。

・「独立行政法人防災科学技術研究所」では、MPレーダー雨量情報を用いて、リアルタイムで1時間先までの10分毎の10mメッシュの浸水被害危険度を予測する「あめリスク・ナウ」というシステムを開発中である。このようなシステムの早期開発と実用化、有効利用について、国や県、研究機関との情報交換を密に行う必要がある。

 

2 大規模水害への対応

・明和町洪水ハザードマップでは、万が一利根川が破堤した場合、全町が浸水被害を受ける(ほとんどの地域で浸水深2m以上)という予測がされている。

・近年の集中豪雨被害の増加などを考えると、甚大な被害が懸念される大水害の十分な対策を進めておくことが不可欠である。

 

@ 利根川、渡良瀬川等の水位情報のリアルタイム観測と住民への周知

・集中豪雨における利根川、渡良瀬川、谷田川の増水情報などをリアルタイム観測し、行政や住民に周知できるシステムの整備について、河川管理者である「国土交通省利根川上流河川事務所川俣出張所」や「群馬県東部県民局館林土木事務所」に対する要請を行う。

・また、大規模河川の水防対策や被害想定等について、河川管理者との十分な情報交換を継続していく必要がある。

 

A 洪水ハザードマップの更新

・現在の洪水ハザードマップは、国の仕様に準拠しているため、利根川氾濫時の明和町の浸水浸水深は「2.0m以上〜5.0m未満」がほとんどとなっている。浸水深2mでは、住宅2階に避難すればよいが、45mとなると3階建以上の建物でないと避難困難である。よって、浸水深凡例の「2.0m以上〜5.0m未満」は細分化することを国、県へ働きかける。

・破堤による洪水被害では、水勢による家屋等の流出被害も想定され、住宅にとどまることは危険である。よって、洪水時の避難方法や留意点について、更にきめ細かく住民へ周知することや学校教育等で子どもたちに指導できるようなハザードマップ、地域防災計画等の拡充を望む。

 

A 避難場所・防災センターの確保

・全町が浸水被害を受ける明和町では、避難場所や防災センターの整備が重要である。

・概ね全域が2m以上の浸水被害を受ける可能性もあるため、現行の避難場所について、避難困難となる地区等がないかを検証(避難経路・時間、収容人数)し、対策を講ずる必要がある。

・避難場所については、既に民間企業との協定により指定している施設もあるが、近隣市町の施設を含めて、必要に応じた避難場所の再検討を進める。

・洪水時の危機管理施設として、水防活動を支援したり迅速な緊急復旧を行うため、河川管理者と町(水防管理者)が一体となって『河川防災ステーション』の整備を検討する。

・河川防災ステーションは、緊急時に必要な土砂などの資材を備蓄するほか、洪水時には水防及び復旧活動基地(水防指令室・水防団待機所・水防倉庫)やヘリポート等として利用する。平常時には河川巡視の中継所や地域のレクリエーション・文化活動の拠点として活用する。

 

B 官民一体となった防災意識の高揚

・町は、水害時の安全確保のため、迅速な避難勧告、避難命令などの発令を行う。

・住民は、自治会集会等での日常的な防災教育、訓練や消防組織の充実等を行い、自主防災能力の強化を図る。

・町は、国や県等と連携した「100mm/h安心プラン」の策定、登録を目指す。

100mm/h安心プランとは、河川管理者及び下水道管理者による河川と下水道の整備に加え、住民(団体)や民間企業等の参画のもと、浸水被害の軽減を図るために実施する取組を定めた計画。

・このほか、地震等の災害等も含めて持続可能で強靭な町を築くため、「国土強靭化地域計画」の策定をはじめ、「地域防災計画」の更新、「事業継続計画」の策定に向けた検討を進める。

※国土強靭化地域計画とは、どんな自然災害等が起こっても機能不全に陥らず、いつまでも元気であり続ける「強靱な地域」をつくりあげるための計画。地域防災計画はもとより、地方公共団体における行政全般に関わる既存の総合的な計画よりもさらに「上位」に位置付けられるもの。

※事業継続計画(BCP)とは、自然災害や事故、感染症の流行などにより、自治体等の活動を拒む障害に直面した際に、損害を最小限に抑えながら事業を継続するため、限られた人員や施設で目標時間内に業務を再開させるために予め定めておく行動計画。

 


 

 

具体的な施策案/テーマ4 川俣駅周辺の再開発

 

【ねらい】 川俣駅周辺地域整備事業に伴い、駅周辺地区をにぎわいのある空間としたい。

 

1 交通結節機能向上のための駅前広場の整備

・通勤通学に便利な駅とするため、バスや自動車送迎用のロータリーや駐車場、改札口近くに駐輪場(バイク含む)を整備する。

・誰もが安心して歩けるよう、車道と分離したバリアフリー化された広い歩道を設け、安心安全、防犯に配慮した照明灯、防犯カメラを設置する。

・通勤客がパーク&ライドに利用できる駐車場を確保し、鉄道利用の促進を図る。駐車場、駐輪場の整備は民間事業者に委ねるが、駅前の美観を損なわないよう、意匠・色彩の工夫や緑化ルールなどを検討する。

 

 

2 川俣駅の顔となる交流の場づくり

・駅前に、「まちの顔」となる町の身の丈に合った情報交流施設を整備する。

・鉄道・バス待合いにも利用できる交流スペースのほか、廃品利用のアニメ・絵本図書室や観光等の情報発信等の複合機能をもたせる。

・交流スペースは、待合いや休憩、談話、インターネットなど、多目的に利用できる冷暖房完備、Wi-fi対応の居心地のよい空間とする。

・リサイクル図書室は、絵本やアニメなどのリサイクル本を中心として電子図書閲覧もできるものとする。また、絵本読み聞かせなどの子育て交流イベントを開催する。

・明和町出身の写真家「野村誠一コーナー」を設け、作品展示や撮影会イベントなどの企画を検討する。

・まちづくり情報交流館(テーマ1参照)を移転して機能集約を図ることも考えられる。情報交流館では、観光案内や特産品販売のほか、喫茶・コンビニ(自販機)機能をもたせる。

・子どもたちや趣味サークルの美術作品等を展示できる場として、家族で訪れてもらえるようにする。また、趣味サークルや商工会、JA、学生、企業などの企画によるイベントを定期的に開催し、駅への集客効果を高める工夫を検討する。(例えば、物産展、○○市場、コンサート、婚活イベントなど)

・駅前広場に併設した広場公園を設けて、日時限定の大規模直売市場を開催する。フリーマーケットやB級グルメイベント、工業団地の企業模擬店等も開催できる自由空間とする。

・レンタルサイクルを導入し、利用者ニーズを勘案しながら機能拡充(更衣・シャワー室整備など)を検討していく。

・工業団地等の企業広告情報板やアンテナショップを設置するなど、事業収益向上について積極的に検討する。

・施設整備のための計画・設計には、コンペ形式による設計者・事業者の選定などを導入することで、優秀な設計者、事業者を確保するほか、町のPR(建設・不動産業界における社会的注目)にもつながる。

 

 

 

3 民間事業者による生活支援機能の誘致

・首都圏への通勤圏として、新たな転入者を呼び込むための駅前居住環境の向上を目指す。

・生活支援施設として、日用品買い物(コンビニ、生鮮食料品)、飲食、クリニック、託児所などのテナントの入る複合共同住宅(低層階に商業施設等が入居する共同住宅)を誘致する。

・民間開発を促進するため、都市計画用途地域の適正な見直しや助成・減免など、民間事業者が出資しやすくするための行政支援策を検討する。

・周辺工業団地の企業を訪れる鉄道利用の業務関係者が多いことから、駅周辺へのビジネスホテルまたは簡易宿泊施設(カプセルホテル等)の誘致も検討していく。

 

4 歩いて周遊できる生活拠点の形成

・駅や役場、お店をはじめ、公園や川沿いなどを歩いて周遊できるようにすることで、車に依存した地方都市の生活改善のきっかけとする。これは高齢者の健康増進にも効果的である。

・駅前や交差点などに、わかりやすい案内地図や方向サインを整備する。

・安心して歩けるように、交通量の多い道路には歩行レーンを設けるほか、バリアフリー化、誘導ブロック、案内地図を設置する。

・歩いて楽しめるよう、要所にポケットパーク、休憩ベンチを設けることや、沿道の住宅などに呼びかけ花壇づくり、桜並木の延伸を検討する。

 

5 その他

・駅の壁や連絡通路には、企業にスポンサーになってもらい電光掲示板の設置や、季節ごとに変わるイルミネーション設置を検討する。

・駅の東西で機能を分ける工夫が求められる。バランスか、テーマで分けるか検討していく。

 

 

 

具体的な施策案/テーマ5 ICTを利活用した明和町の活性化

 

【ねらい】 情報化技術(ICT)を有効に利活用することで町の活性化を進めたい。

 

1 明和町コミュニティサイトの構築

・町のコミュニティ情報を集めたサイトを開設して、町民(高齢者)の生活をサポートする。これにより、高齢者が楽しく住みやすい明和町で、シニアライフを満喫することができる。

・町外に向けて、明和町の特産品や観光、工業団地等を広くPRすることで、町のイメージアップにも貢献できる。

・予算は、地方創生の国の補助金を活用することが考えられる。

・コンテンツ作成やメンテナンスについては、人材派遣制度の活用が効果的である。

 

【コミュニティサイトのイメージ】

 

【サイト掲載情報】

@ シルバー向け旅行・買い物・医療情報の共有

・旅行会社、店舗、医療機関とのタイアップやこれに関する投稿情報の掲載を行う。

・行政としても、住民サービスの向上、商業施設不足の補完、医療費の軽減などの効果が期待できる。

A シルバー向けボランティア・講習会等情報の共有

・マイタウン支援センターとのタイアップやこれに関する投稿情報の掲載を行う。

・行政としても、少ない予算で住民サービスの提供、老人福祉サービスの補完などの効果が期待できる。

 

2 高齢者へのiPad貸し出し  〜コミュニティサイト運用のための実現案〜

・定年後に自宅で生活している高齢者には、会社等でパソコンを使用していた人材も多く、今後ますます増加すると考えられる。一方、定年後に社会とのつながりが希薄になる高齢者が全国的に増加傾向にある。このようなシルバー人材の生きがいをつくるとともに、人材を活用することは町の活性化を考えるうえで重要なテーマである。

・住民の生の声をタイムリーに発信することはコミュニティサイトの魅力を高める。そのため、高齢者へiPadを貸し出し、情報発信モニターになっていただく。モニターは、iPadからサイトへの各種投稿を行う。これは、コミュニケーションツールとしても有効である。

・例えば、町に3年以上居住している60歳以上の方からモニターを募り、iPad300台を1年間無償貸し出しする。(明和町65歳以上3,000名の10%と想定)

※借用者は情報投稿することが条件

※1年間以降継続を希望される方には有償提供

iPadの操作方法については、定期講習会を実施してモニター教育を行う。

・機器費は、iPad1台×@270円×24回=6,480円/台(×300台≒195万円)

・通信費は、基本1,700+パケットパック3,500円=5,200円/台・月×12月=62,400円/台・年

(×300台≒1,872万円) (単価はNTTdocomoホームページより)

 

3 コニュニティサイトからポータルサイトへの拡張

・「農産物販売ポータルサイト」では、全国の消費者(インターネットユーザー)に向けて明和町の農作物のPRや販売を行うことで、食の安心・安全のPRや販路拡大が期待できる。

・「見どころ案内ポータルサイト」では、旅行者(インターネットユーザー)に向けて明和町の観光情報のPRを行うことで、来訪者(駅利用者)の拡大が期待できる。

 

【ポータルサイトへの拡張イメージ】


 

 

具体的な施策案/テーマ6 人口減少対策

 

【ねらい】 現在は急激な人口減少はみられないが、町の発展を考え、定住化促進を図りたい。

 

1 若者や子育て世代を増やす

・明和町は、工業団地の立地や首都圏への通勤圏であることなどから他都市と比べて人口減少率や出生率はそれほど逼迫した状況にないものの、今後に向けて、人口問題や少子化対策に関する積極的な対策を継続していく必要がある。

・町の人口を維持するためには、若者や子育て世代の転入を目指すことが有効である。

 

@ 働き口の確保

・工業団地への企業進出は、町民の直接雇用のほか、地域経済循環効果も期待されるため今後とも誘致を進める。

・6次産業など地域での新たな産業を興し、雇用機会を創出することが望まれる。

・ベンチャーなど個人の起業を支援する仕組みを構築する。

 

A 町内婚活

・全国的に婚活イベントなどが話題になっている。町や商工会が主催する婚活パーティーのほか、婚活バスツアー、婚活農業体験など、明和町の独自企画を実施していく。これは、町のPRにもつながる。

 

B 住宅の斡旋

・工業団地就業者や町民の世帯分離、都市部から移住する住民のために、安価で良質な住宅を供給する。

・川俣駅の整備に合せて、駅周辺の住宅地(家庭菜園付き住宅など)や駅直近共同住宅などの供給が望まれる。

・町内でも空き家が増加傾向にあると考えるため、空き家バンク登録、インターネットに公開して比較的安価な住宅を供給する。これは空き家対策にもつながる。

 

C 子育て・教育支援

・子ども園の拡充を図り、待機児童ゼロを継続していく。

・学校給食費無料化や高校授業料無料化(継続)など、子育てや教育に関する経済的支援、優遇措置を行っていく。

 

D 生活利便性向上

・大型商業施設の誘致も効果的であるが、商圏や都市計画における立地適正化の問題もあるため現実的に困難と考える。近隣スーパーマーケットなど、明和町の商圏を考慮した現実的な商業施設の誘致を進めていく。

・子どもたちが学生にとっては、書店、文房具店、ファーストフード、衣料品などの日用品の買い物ができる店舗やカラオケボックスなどの娯楽施設も望まれている。

 

2 町民の買い物しやすい環境をつくる

 

@ 集客施設と合せた商業施設

122号沿いの集客施設(テーマ1参照)は、観光客集客だけでなく、町民の買い物の場としても利用できるものとする。

・町で運営費補助等を検討し、民間企業の誘致を図るとともに、町民利用の特典(割引・ポイント制など)についても検討する。

・巡回バス(テーマ1参照)は町民の生活交通としても利用できるものとする。

 

【沿道型商業施設のイメージ】

 

A コンビニエンスストアとの連携

・町内コンビニと提携し、日用品や生鮮食料品を品揃え、情報を町が利用者へ発信、注文を受け、利用者へ町・ボランティアで有料宅配を行う。

・地元農家、JAなどと協力のもと、町内のコンビニ数店舗と提携して駐車場を借り、農産物・生鮮品を販売する軽トラ市を開催する。

 

B 買い物支援サービス

・現在行っているサービスを拡大、機能向上を図る。

・公共バスを利用し、近隣スーパーマーケットへの送迎を行う。

・会員登録し、電話・携帯・PCなどで申込みできる仕組みとする。

・町・ボランティアで申込み取りまとめ運行する。

 

3 タウンセールスの推進

・明和町の知名度を向上し、「住み続けたい」「住んでみたい」と思うまちづくりを進めていく。

・イベントや特産品開発などのさまざまな話題づくりを行い、マスコミへの露出機会を高める。

・インターネットを通じたタウンセールス、東武鉄道車内広告などによる町のアピールを行う。

・工業団地進出企業へのアピールを積極的に行う。(子育て優遇措置の紹介、住宅の斡旋、気軽に週末生活のできる二地域居住の勧めなど


 

 

おわりに

 

本提言書は、自主的・積極的に勉強会に参加したメンバーが、自らのまちづくりの思いを託して、意見・アイディアを出し合い、取りまとめたものです。

提言に示された内容が、明和町総合計画、都市計画マスタープラン策定をはじめ、今後のまちづくりにおいて活かされ、官民協働のまちづくりが実現されることを望みます。

 

○未来の明和町を考える勉強会メンバー

石田栄二、磯光夫、小宅 誠、栗原孝夫、鈴木開一、徳永栄助 (五十音順・敬称略)

(作業協力:高柳乃彦)

 

《勉強会の開催経緯》

開催月日

勉強会のテーマ

内 容

712

活動方法の決定

勉強会の進め方

明和町を活性化する企画の作り方

89

明和町の現状・課題

明和町の現況の確認

課題の抽出(ディスカッション)

913

明和町の防災対策

防災(特に水害)に関する情報収集

まちづくり重点テーマの設定

1011

企画案の発表

各テーマ担当者による企画発表、意見交換

(各テーマのプレゼンテーション)

118

提言書の検討

提言書案(修正案)の発表、意見交換

1213

提言書のまとめ

提言書案(最終案)の発表、意見交換